約650年前の室町時代に大成された能楽は世界最古の演劇といわれ、日本で最初にユネスコ世界無形遺産の指定を受けました。能はその芸だけでなく、使用される能面や装束なども美術的に優れ、見る人を引きつけます。
能楽の源となるものは平安時代から鎌倉時代にかけて栄えた「猿楽」という芸能で、室町時代には能と狂言に分化し、その後、能は室町時代に三代将軍足利義満の後援を受けた観阿弥と世阿弥の親子によって大きく発展を遂げました。江戸時代になると、能は幕府の儀式のための「式楽」とされ、各大名もそれぞれ能役者をお抱えとしていました。
明治以後、武家の手から離れた能楽は一時衰微しますが、能が新たに一般の人々に支えられて再出発する契機ともなりました。現在、全国各地で薪能が年間200回近くも催され、気楽に楽しめるものとして盛んになっています。「能は敷居が高いもの、難解なもの」と思われがちですが、能は想像を楽しむ芸能です。ご自身の心の中に情景を描き、余白・余韻をたのしんでください。
<大阪との関わり>
大坂城を建てた豊臣秀吉は、能を稽古して天皇や各大名の前で演じて見せるなど、非常に能を愛しました。秀吉はその様子を妻・北政所(ねね)に送った手紙の中に「能に暇なく候」と書いているほどです。また『明智討』『柴田』『吉野詣』など自分の事跡を祐筆(秘書)に新作させて、それを自ら演じることもしています。秀吉はまさに「耽溺」といえるほど、能に魅せられていたのです。
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